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2006年11月23日 (木)

ソラリス スタニスワフ・レム

 地球からみて、かなり辺境の惑星「ソラリス」。この星でしか起こらないプラズマ現象研究の為のステーション。最近そこから送られてくるデータがおかしく、事実解明の為心理学者クリス・ケルヴィンがステーションに送り込まれる。わずか数人の研究者しか残っていない筈のステーションには「お客」がいた・・・。
 
 と言う、タルコフスキーの映画であまりにも有名なこの作品。映画に対するレムの不満を漏れ聞いていたので白紙の状態から読み始めましたが、そんな必要なかったかもしれません。それほど面白かったんです。

 レム自身は、字義通り、カント的な意味で「形而上」のものを書きたくてこの「ソラリス」を書いたと言っていますが、その点で冒頭ケルヴィンが船から切り離されて単身ソラリスステーションに到着する場面、到着する迄の時間にケルヴィンがソラリス探検と研究の歴史を滔々と回想する、つまり現物のソラリスが登場する前に観念が出てくるやり方にはうならされてしまいました。

 このソラリス探検の歴史はただ観念としてソラリスを植え付けるばかりでは無いようですね。ソラリス研究の軌跡は計3回、ケルヴィンによって回想されるのですが、時期も、やり方も、その結果も、全て違っているのです。私は哲学には全く詳しくないのですが、それでもこの探検が西洋哲学史のいくつかのアプローチをなぞっている事はわかりました。どんななぞり方なのか私には知る由もありませんが、あのレムであるからして相当辛辣なパロディになっているのではないでしょうか。

 ソラリスが形而上のものであるならば、当然主人公ケルヴィンは求道者(言葉が不適切かも)であり、そのアプローチの仕方は徹底的に科学的、ではないでしょうか。って、お客に対する態度はそうとは言えないですけど。
でもハリーをロケットに乗せて大気圏外へ出してしまう場面、怯えて放りだした感のあるタルコフスキーと違って、何が起こっているのか判るまで、少しだけハリーを遠ざけておきたいという冷静な計算だった訳ですし。

 私の読み方が変なのかもしれないのですが、私はこの作品が恋愛を扱っているとはどうしても思えないのですね。形而上的なものとしてのソラリス。そしてそれを求める人間。
過去の研究チームの遠征で命を落とした研究者がいますよね。哲学上の討論と爆死という見方と、あともう一つ、単純にイカロスとも読めるのですが、駄目かな。

 ソラリスに対するケルヴィンの態度、これは西洋哲学の姿勢にしか私には見えないんですね。フッサールとか(違うだろうけれど)、昔読んだ何かを彷彿とさせるんです。
彼のお客であるハリーに対する態度が他の研究者がお客に対してとる態度と違うのも、恋愛感情と言うよりは理解し得ないものから出された問いに向き合う姿勢、という気がします。もっとも、ハリーを見据えないとハリーを出してきたソラリスを見ることは出来ない、という私の見方は多分に東洋的なもので、作者はそれを間違いだとは言わないだろうけど違う考えの元で育った人たちはどう考えるのか、興味あるところです。
物語の最後、ケルヴィンは一人ソラリスに留まる訳ですが、仏教徒な私はその姿に「阿字観」を連想してしまいました(笑)。
哲学に詳しい人の感想を是非読みたいものです。


 最後の蛇足
 実は私、タルコフスキーファンの端くれです。タル版「惑星ソラリス」はそれはそれで良いのですが、それでもレムの原作と比べると私はレムに軍配を挙げざるを得ません。タルコフスキー作品とこの原作と比べた記事を書いてみたいな、などと野望は一応持ってます。なんか、思いっきり好き勝手ばかり書いて恐縮ですけど。
 

 沼野 充義訳、国書刊行会版は飯田 規和訳「ソラリスの陽のもとに 」より、欠落部分のない完全版なのだそうです。抜けた部分、結構重要に思えます。

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