○×さーん
お盆も微妙に過ぎてしまったのに書いてしまいます。実話なのでこの出来事にオチはありません。そしてこの話は四国遍路中の出来事です。
03年秋、71番弥谷寺寺(いやだにじ)でのこと。このお寺は昔から、近所の人たちが死者がでるとその霊を背負う格好をし、苔むして脇に小石が積まれている(通称賽の河原)石段約300段を登るのです。それで「いやいや登る祖谷寺」という有り難くない名前を頂戴しているらしいのです。そして上に着いたらその霊を降ろし、後を振り向かずに一目散に逃げ帰るのです。この時絶対に後を振り向いてはならず、もし振り返ったら死霊が来るという話を、話しぶりから小さいときに絶対背負わされて登らされたに違いないであろう添乗員Oさんから、その昔聞かされたのでありました。
と、脅かされながらも、大師堂にあった今はコンクリートになってしまった不動堂?の雰囲気など、私は結構気に入っていたので嫌いなお寺ではありませんでした。
しかし嫌いではないとはいえこの年は既にメニエールになっていたので、さすがに石段は堪え、帰りはいつも一緒にお参りに行く一団の最後尾をよろよろと歩いていたのでした。吐き気と冷や汗でかなり参りまして、やっと山門が見えた時には、下にあるお茶屋さんの事しか頭の中に存在しないと言う状態となっていたのです。
と、丁度その時
「○×(私の姓)さーーーん」
年の頃なら30代後半からせいぜい40代女性の呼ぶ声。雰囲気としては『雪国』の冒頭にある「駅長さーん」でしょうか。そう呼びかけられて、ワタクシ思わず振り向いてしまいました。そう、振り向いてしまったのです。
振り返った石段には下りの人はおらず、装束ではない、観光客と思しき女性達の後ろ姿が見えるだけ。誰かが呼んだ風も無ければ、呼びかけに答えている風もなく、皆様ただ黙々と登っていくだけ。多分、この人たちの誰かが登りながら偶然にも私と同じ名字を叫んだのでありましょう。でも、でも、そのお陰で振り向いてしまった私はどうすればいいのですかっっっ。
と暫く怒り狂っていたのですが、疲れのあまり都合良くこの出来事を綺麗さっぱり忘れてしまったのでした。
そして5年後・・・
お盆も近い8月11日、どうしたものか唐突にこの事を思い出してしまったのです。今更思い出しても困る訳ですが、上手い具合にその晩夢を見ました。
とても良くして頂き7年前に他界されたSさんのおばさん。困ったときに必要なものが全て入っているおばさんの荷物を、既に受け取っていた事を思い出すという夢なのです。夢の中のその荷物は、どこにでもある普通の買い物袋でした。生前おばさんが使っていたチェック柄で、アンズの砂糖煮だのおはぎだの、ジャムだのお漬け物だの、人にあげるために作った品々がぎゅうぎゅうに入っていた姿そのままで、一番上に綺麗な花柄タオルを掛け、その上で手提げ部分が結ばれていました。普通の袋、でも中身はとても優れたもの、という夢。
という次第で、振り向いた事は気にしない事にしました。なにやら暖かい気分にもなりました。そしてこの気持ちを表現すべく、記事にしようと日付を調べていたら、この年撮った結願記念の写真がないのです。日記には書いてあるので行った事は間違いないのですが、私写真、どうしたんでしょ(汗)。ついでに日記によると、私八十八番札所で納め札忘れたとあるんですわ。ちゃんと納めて帰って来たんでしょうね、私。暖かい気持ちはそのままですが、なんかまた不安になってきた(大汗)。
« ブキミ、デビュー | トップページ | 忘却の彼方から »
「出来事」カテゴリの記事
- 九月二十日 幻影の話(2012.09.20)
- わんこの思ひ出(2012.08.13)
- お芋のおもひで(2011.11.05)
- 秋の空・・・みみ(2011.10.13)
- 涙のMRI(2009.07.31)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。



オチは札を納め忘れてシマイマシタ?ではありませんか
投稿: JohnClark | 2008年8月17日 (日) 23:53
JohnClark様
それがとんでも無いことを思いだしてしまったのでした(涙)
投稿: ぽんず | 2008年8月18日 (月) 21:21