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2010年12月 3日 (金)

作家は賞の消耗品 あるいはそういえば村春樹はどうしてるだろう。

 村上春樹氏がエルサレム賞を受賞し「壁と卵」のスピーチをしてから約1年10ヶ月、そろそろ次の受賞者も決まろうという今、あの時の事を私なりにもう一度振り返ってみたいと思います。

 エルサレム賞が受賞の度に抗議や請願が起こる類の、いわば曰く付きの賞であることは今更言うまでもない事ですが、当時私が強く思ったのは「受賞は災難かも」でした。何故ならこの賞の選考委員はノーベル賞の選考委員とかなり被っているというウワサがあるのに、イスラエルは国連決議を無視してパレスチナを不法占拠中の上、入植地の建設までしている国であるという、人権問題を避けては通れない感のある21世紀の職業作家としては、受けるも地獄、辞退も地獄に私には思えたわけです。

更に私が書いたこの記事(リンク)に詳しく書いてありますが、エルサレム賞は世界中から有力な編集者を招いて遠足やパーティーなどでも歓待するブックフェアの呼び物の一つであり、そのブックフェアの主催はイスラエル外務省なのです。

 そもそも賞なんて、授与する団体が世間からこう思ってもらいたいという方向性から作家を選ぶのですから、作家のためだけの賞などというのは幻想でしかなく、でもそれでもこれだけ正面切って誰の為なのか告白している事例も少ないかと思うわけです。文科省ではなくて外務省なのですから。

 そのエルサレム賞に、村上春樹氏はエルサレムに出向き会場であの「壁と卵」のスピーチをし、氏のために付け加えればその時の事を文藝春秋のインタビューで語ったわけです(過去記事リンク)。

 村上氏は自分をどうみせたくてこの行動をとったのでしょう。
「壁と卵」スピーチで世の中変わると思っているトンデモピュアな作家?
でもそれはいくらなんでも氏に失礼ですし、嘘をつくのが仕事みたいな事をスピーチで言ってしまっています。
では理想を売りながらも「賞」が必要以上に重要視される日本マーケットをシビアに見つめるマッチョな大人のイメージなのでしょうか。
そういうイメージを与えたい(当然ですがどのイメージも氏本来の姿からはずれているはず)人物が「かえるくん東京を救う」を朗読する姿(リンク)はブラックなのかジョークなのか。
私は「かえるくん」は結構好きなので、この解釈はちょっと心中複雑です。
書き下ろしの出版を控えた、一番忙しい作家を選んだのは、良い反撃の手を封じる選考委員会の策略じゃないのかとさえ思ってしまいそうです。

もっとも受賞をうまくかわせなかったのは村上氏ばかりではないのです。アーサー・ミラーは出席せず事前に録画したビデオスピーチで、イスラエルのパレスチナ政策を強く非難しましたが、そのスピーチはイディシュ語で会場に集められた世界中の有力な編集者には何を言っているのか殆ど判らなかった上に、スピーチ自体がほとんど報道されず(過去記事リンク)、スーザン・ソンタグも意義深い受賞スピーチをしましたが、今検索ででてくるのは「受けるなと脅迫された」というエルサレムポストのインタビューであり、ソンタグにさえ受賞させる『エルサレム賞選考委員会』という語調の評論ばかり。どちらもやわな作家ではありません。

 村上氏がインタビューで語っていた内容によれば、氏がこれからパレスチナ問題に関わっていく可能性はあり、多忙な作家が二年間何もしないように見えたからと言ってその事で非難することは出来ませんし、そもそも作家自身が、この賞で自分をどのように見せたかったのか、まだ極まった訳でもないのでしょう。
しかし作家といえども組織(この場合はイメージアップを図るイスラエルということでしょうか)の戦略の前には小さな一個人にしか見えないな、というのが私の感想です。
その一個人(作家)には営々と築いてきた自分のブランドというものが存在していたはずなのですが、受賞のよって、そのイメージは選考委員会の意図の入った変容をしてしまうのかもしれません。

 文学賞って、何のためにあるのだろう。


「The Palestine Festival of Literature」パレスチナ文学祭(リンク
09年は開会式も閉会式もイスラエル政府に阻止されたそうです。

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