公開されるやいなや非難の嵐に見舞われたルミネの動画ですが、それについて「男が主人公だったら叩かれなかったはず」とか「ポリコレ(ポリティカルコレクトネスの略らしい)うるさすぎ」みたいな反応がみられてげんなりしているお彼岸の中日。
お墓参りも済んだので、げんなりついでにこの動画の趣旨に沿った男性バージョンを考えてみました。
男性上司「○○、朝からその格好はなんだ。シャツの襟がヨレヨレじゃないか」
男性社員「でも仕事が忙しくて三日も家に帰れなくて・・・。着替えのシャツも底を尽いたんです。」
上司「馬鹿野郎!仕事が忙しいくらいでそんな格好になるなんぞビジネスマン失格だ!××を見てみろ。お前と同じように仕事してあんなにぱりっとしているじゃないか!」
ぱりっとした身なりのイケメン登場
そこに「出来る男は□□の防汚・抗菌・形状記憶ワイシャツ」の文字。
こういうCMを作って放送したら(過去にあった気もするけど)、ブラック労働を推奨しているのか、とかなりの確率で炎上するのではと思います。
この三日も帰れないほど忙しい問題のある職場(ルミネ動画だと上司の馬鹿ハラ発言)なのに、社員の様子に疲れがみられてもそれは個人が気をつけるべき身だしなみであり個人の資質の問題(動画だと巻き髪女子はちゃんとしているけどキミは労働力と線引きされる)にされてしまい、問題解決に、非難された人物に変わる事を提案(イケメン社員みたいに徹夜してもぱりっとしてろ)するという部分を踏襲してみました。
こう書いてもルミネ動画に「上司がイケメンだったら」とか「ポリコレ」という人がいたとしたら、ブラック労働は問題だとは辛うじて認識出来ているけれど、馬鹿な上司のハラスメント発言には鈍感で何が悪いかもわかっていないと申し上げるしかありません。
勿論、キャリアアップには馬車馬のような労働が必要な場合もあるでしょうし、仕事によっては綺麗な見かけも必要な場合もあるでしょう。それを求められること全てが悪いとは私は思いません。しかしルミネ動画は、ハラスメント上司をスルーして、主人公女性に変化を求めている事が一番の問題なのです。これではハラスメントが起きるのは被害者に不備があるからだと言っている様なものです。
ルミネ動画も、例えばハラスメント上司の言葉の後、主役社員が別の上司に「○○さんの言動を何とかして下さい!限界です!」とか掛け合って、その上司も「わかってる。来週このプロジェクトが完成したら、きちんと再教育すると上の方も言っている。それまでどうか辛抱してくれ」とかなだめすかされて、主人公が「ならぬ堪忍、する時ゃルミネ」と呟いてルミネ走る展開だったとしたら、ハラスメント行為に会社の本腰度が疑われるとしても、ここまで炎上はしなかったと思うのです。
会社の上の方が頭が固い、考えが古い、倫理観が欠如している。でも経営が上手くいっているなら良いのではないかと思う人もいるでしょうが、個人が何を考えていても居酒屋談義で止まっているならいいのです。ハラスメントを見逃し、被害者に変われというようなメッセージをマスに流すことが問題なのです。
曽野綾子氏がアパルトヘイトについて何も知らないのに(セッション22で本人がそう言ってました)住居分離を新聞という公器で提唱した問題と同じです。
様々な職場や場所で、個々の人々が恐る恐る問題提起したり、頑張って訴えたりして少しずつ積み重ねて浸透させてきた、アンチハラスメントの考えが、この動画がマスに流れることでハラスメント愛好者を勢いづかせどれだけ後退してしまうか、マスに流すことの責任をもっと自覚しないと駄目でしょ、と思ったお彼岸中日なのでした。
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