猫式ぬれた鼻の使い方
これは前にどこかでお話したかもですが、うちの故猫ほっしい(アイコンの猫です)は色々発明というか発見をする猫でした。ある時、寒さでかじかんだぬれ鼻を私の顔に押しつけると飼い主はけいれんを起こしたように飛び起きるということを発見しました。勿論これは私の推測ですが。その時彼はこれは使える!と考えたのでしょう。それから毎朝、ほっしいはまるでハンコを押す様に濡れた鼻を私の顔に押しつけるようになりました。
これは経験しないとわかってもらえないかもですが、寝ている顔に冷たい鼻を押しつけられるというのは、電気ショックのような衝撃が走ります。あまりの衝撃に一瞬息がとまります。これを朝の4時頃、毎日繰り返された時は、私は苦痛とショックと寝不足で倒れるんじゃないかと思いました。
しかし故猫は知らなかったかもですが、人間というのは慣れるものなのです。私は段々けいれんしたり飛び起きたりしなくなりました。ほっしいは鼻を何度も私に押しつけることになり、そうすると朱肉がなくなるように鼻は乾いて温かくなります。そんな鼻を押しつけられると飼い主の心地よい眠りを誘いさえします。
そこで彼は鼻先に水分と冷たさを取り戻すべく、鼻先をペロペロなめながら何周も疾走し、それによる風で鼻の温度を下げるという方法を採用しました。これは被った布団の隙間から私が目撃したので間違いありません。
しかし厳寒期ならともかく春が近づいて暖かくなってくると、段々鼻は冷えにくくなり、私は冷たい襲撃にもっと慣れて起きにくくなり、いつかこの労多くして実りすくないスタンプ作戦は沙汰止みとなりました。
そこまで頑張って人間を叩き起こして朝食の用意をさせ、食べ残して寝てしまう、うちの故猫達は一体何をしたかったのかは未だに謎ですが、寒くなって自分の鼻が凍える季節になると、私は決まってこの話を思い出すのです。
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